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インプラントの埋入位置に関する4つのルール

こんにちは、大杉歯科医院 院長の大杉和輝です!



最近、忙しくて更新が滞ってましたが、久しぶりに書いていきます。


今回は、インプラントの埋入位置に関する4つのルールです。


インプラントを入れる位置が悪かったり・適切な処置を行わないと、インプラントが歯周病になったり・見た目が悪くなったりします。



長持ちして・見た目も綺麗なインプラントを入れるためには、しっかりと戦略を持つ必要があります。


それでは始めていきましょう。



また、他のブログも人気ですので是非ご参照ください。⇩

「インプラントとは?後悔しないために知るべき知識(寿命?、メリットデメリット?、MRI?、費用?など)
「インプラントに関する合併症と対処法(最近、話題のクラニオフェイシャルグロースも)



目次



1.インプラントの埋入位置が悪いと何が良くないのか?
2.なぜインプラントの埋入位置が悪くなるのか?
3.インプラントの埋入位置に関する4つのリスクファクター
4.インプラントの埋入位置に関する4つのルール
5.私が行ったインプラント治療ケース





1.インプラントの埋入位置が悪いと何が良くないのか?



2022年の最新の文献に書かれているのですが、「インプラントの3次元的な位置が不適切な場合、インプラント周囲の骨量の減少やバイオフィルムの形成に繋がる可能性がある」とのことです。


要約すると、「インプラントを入れる位置が悪かったり・インプラント周囲の骨が足りてないと、インプラント周囲の骨が溶けたり・細菌が繁殖してインプラント治療が失敗する」ということです。






2.なぜインプラントの埋入位置が悪くなるのか?



歯を抜くと、歯槽骨(歯を支える骨)が吸収し、ボリュームが減ります。これは動物実験や人を対象とした研究でも示されております。


2011年の人を対象とした研究で、「抜歯に伴う歯槽骨の吸収量」を調べたものがありますが、歯を抜いてから6ヶ月後に、水平的に平均 3.79mmの幅が減少し、垂直的に平均 1.24mmの高さが減少します。これは前歯・奥歯すべてを含めた結果です。







2017年の”前歯のみ”を対象にした研究では、”前歯では臼歯よりもより大きな骨吸収を招き、約90%のケースでそれが起こる”ことが示されております。


したがって、”前歯にインプラント治療を行う際は、抜歯による影響を強く受け、インプラントを埋入する際には、骨が不足していることがほとんど”です。

例⇩
   




さらに、歯周病が進行したり・歯根破折が起きたりすると、その周囲で細菌が繁殖し、骨が溶けます。これは抜歯することである程度回復しますが、通常の抜歯と比べるとより条件はさらに悪くなります。



”インプラント治療を行う際には、骨が不足していることがほとんど”なのです。


そういった歯槽骨に対して無理にインプラントを埋入することで、インプラントの埋入位置が悪くなり、結果としてインプラントが歯周病になったり・見た目が悪くなったりします。

例⇩





3.インプラントの埋入位置に関する4つのリスクファクター




すべて初診で当院に来院された患者様ですが、他院ですでにインプラント治療が行われていました。





ケース1(1.5mm未満の薄い頬側骨)



頬側の歯肉が薄く、発赤しています。



上から(咬合面から)を見ると頬側に寄っており、



インプラント周囲の骨が溶けていることから(インプラント周囲炎と呼ぶ)、インプラントを撤去することとなりました。





ケース2(垂直的に根尖側すぎるインプラント埋入)



インプラントの埋入位置が隣の歯から垂直的に位置が大きくズレており、歯がかなり長くなっています。

清掃不良が原因で、インプラント周囲炎となっています。





ケース3(骨縁上のインプラント埋入)


粘膜退縮を引き起こしています。



副鼻腔(上顎洞)を避けたのか、埋入深度が浅く、インプラント表面(ラフサーフェスと呼ぶ)が露出し、インプラント周囲炎を引き起こしています。

患者様のご希望もあり、インプラントを撤去することとなりました。






ケース4(3mm未満のインプラントの近接)

 
インプラントがかなり近接しており、インプラント周囲炎を引き起こしています。



このように”戦略なく、インプラントを埋入するとインプラント治療が失敗し、患者様に多大な負担をかける”こととなります。





4.インプラント治療が上手くいってないときのサイン


・「インプラントが見えている」
・「インプラント周囲が赤く腫れている」
・「磨くと血が出てくる / 痛い」
・「インプラント周囲の歯茎が下がってきた / 見た目が悪い」
・「隣の歯と比べてインプラントが長い」






5.インプラントの埋入位置に関する4つのルール








ケース1(インプラント埋入後に頬側骨が不足する場合は、骨増生を行う)


インプラント埋入後、頬側部の骨が不足する場合は、



骨増生が必要となります。



ケース2(隣の歯との垂直的な位置関係を大きくずらさないようにインプラントを配置する)


顎堤が垂直的に吸収しており、



サイナスリフトを行い根尖側に埋入することも可能ですが、



隣在歯との垂直的な位置関係を大きくずらさないように骨増生を行い歯冠側に埋入する必要があります。




ケース3(インプラントを少し深めに埋入し、インプラント周囲の骨を確保する)


解剖学的な関係から深く埋入できない場合は、



必然的にこのようにラフサーフェス(インプラントの表面)が露出してしまいます。



骨増生を行い、インプラント周囲に骨を獲得する必要があります。




ケース4(インプラントが並ぶ場合は3mm以上離す)


インプラントが並ぶ場合は、3mmの以上距離をとる必要があり、



適切な距離を保つことで骨のリモデリングを阻害せず、骨を維持することができます。



6.私が行ったインプラント治療ケース




ケース1‥40歳男性


右上2にインプラント治療を行いました、抜歯の影響で水平的な骨吸収が起きています。



インプラント頬側部の骨が薄く不足しています。そういった場合は骨を獲得するために、骨増生が必要となります。



6ヶ月後、前歯部では見た目を良くするためにボリュームアップを目的に軟組織増生を行いました。



治療後になります。



GBR後3年になりますが、頬側に約2mmの骨が維持されており、審美性も良好、安定しています。





ケース2‥30歳男性


右上6にインプラント治療を行いました、抜歯の影響で水平的な骨吸収が起きています。



インプラント埋入とサイナスリフト



同時にGBRも行っています。



治療後です。



GBR後3年になりますが、このようにインプラント周囲の骨は維持されています。


適切な位置にインプラントを埋入し、GBRを行い、必要な骨を獲得することで、安定した状態に導けることはわかります。




7.おわりに





長々と書いてきましたが、インプラント治療はとても専門性が高い治療と感じてます。1口腔を1単位と考え根本的な治療ができる医院作りインプラント・歯周病の管理ができる専門の歯科衛生士の育成インプラント治療を行える設備・技術力 など様々なものが必要となってきます。

当院では、初診時に(ご希望の方は)お口の中を診査・診断させていただき、カウンセリングにてどういう治療の選択肢があるか等を十分にご説明させていただきます。

ご希望の方いらっしゃいましたら是非お気軽にご相談ください。
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