自家歯牙移植症例集

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自家歯牙移植症例集

50歳女性/治療費34万/治療期間6ヶ月

症例の概要・主訴

基礎データ 50歳/女性
治療期間 6ヶ月
治療費 34万円
■内訳
  • 歯の移植20万
  • 根管治療7万
  • 築造2万
  • 精密コンポジットレジン修復5万
概要  右側上顎第一大臼歯が歯根破折により保存不可と診断しました。それぞれの治療法のメリット・デメリットをご説明したところ、自分の歯だけで治療が完結することから歯の移植を希望されました。
主な副作用 術後疼痛、歯根吸収、移植歯が定着しない

治療の流れ


資料収集(初診時)
Collecting materials
50歳女性、主訴は「歯茎におできがある」とのことでした。
全顎的に治療した患者様ですが、時間が限られているため右上のみに焦点を当てていきます。
右上6を除冠したところ、口蓋根に垂直性の歯根破折が認められました。
歯肉溝につながる破折なので、保存不可と診断しました。
右上8の移植を提案したところ、同意されましたので移植することとなりました。


CTで移植可能か診査
Check if it can be transplanted by CT
CTでシュミレーションの結果、最小限の受容床の切削で、ドナー歯を少し深めに位置づけれると診断しました。
また、CTデータよりレプリカを作製しておきます。


歯の移植(右下8→右上6)
Tooth transplant
まず、右上6の抜歯をし、受容床の形成を行います。
抜歯窩の壁に残存する歯根膜の線維芽細胞が、ドナー歯の根表面への速い血管再生を促すことで、アンキローシスのリスクを低くすると報告されています。
したがって、レプリカを試適しながら、抜歯窩に残存する歯根膜を最大限に温存するように、最小限の切削で受容床を形成しました。
咬合干渉は歯根膜の損傷を引き起こすので、レプリカを少し深めに位置づけるように調整しました。
また、このタイミングで咬頭嵌合位・側方運動時・前夫運動時に干渉がないかチェックしております。


歯の移植(右下8→右上6)
Tooth transplant
受容床の形成が終わったら、歯根膜を傷つけないようにドナー歯を愛護的に抜歯します。
上顎大臼歯であることと、根形態が先細りであることから比較的ドナー歯の状態は良好であったと考えてます。
上顎骨は下顎骨と比べて骨の石灰化度が低いことから、歯根膜の損傷のリスクが低いと報告されているからです。


歯の移植(右下8→右上6)
Tooth transplant
ドナー歯の抜歯後、歯石のチェックを行い、追加の骨削除はなく、速やかに受容床に収めることが出来ました。
2分以内には受容床に収まってます。
縫合で固定していますが、初期のワイヤー固定はアンキローシスのリスクを高めるという報告があるので、適切であったと考えます。
また、術後1週間はフロモックスを処方していますが、抗菌薬の服用は炎症性歯根吸収のリスクを下げるという報告があるので、適切であったと考えます。


歯冠形態の修復治療(精密コンポジットレジン修復)
Crown morphological restoration treatment
歯冠形態は右上6と近似していることから、精密コンポジットレジン修復で対応しております。
チッピングなど何か問題が起こるようならセラミックアンレーで対応しようかと考えております。


治療後の評価
Post-treatment evaluation
移植後5ヶ月で歯槽硬線と歯根膜腔が認められます。
打診音も正常で、生理的動揺も認めるため、アンキローシスはしていないと考えております。


治療後の評価
Post-treatment evaluation
唇側および舌側に骨を認めないもののプロービングは3ミリ程度ですので、付着は獲得できてると考えます。




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